ひろしまの母

この世のいのち 終わるとも
わが子を想う 母の愛
哀しみ深い ひろしまの
さだめを泣くか 大田川

あれから もう三十三年
もしも おまえが生きていてくれたら
幸せな日々が過ごせただろうに
街ですれちがう人の
後姿にも
ふとおまえを偲ぶ 母の淋しさは
誰れに 誰れに打ち明けたら
誰れに

訪ねて来ても この母に
答えてくれる 声はない
御霊の眠る 慰霊碑に
たむける涙 ただ熱い

たとえ百まで 生きたとて
涙のかわく ときはない
平和を祈る 鐘の音に
両手を合わす 夏の朝
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