同心円上のディスタンス

つり革はひとつしかないの
少し早送りのフライデー
どちらともなく手を伸ばす
同心円上だね

揺れるたび触れ合う小指
不自然なトーク
さっきまでの余裕と愚痴、どっかに消えた

銀河のはじっこまで
この車両だけが浮き上がって
戸惑うふたり
突然ダイヤ乱れて
身動きさえできないまま、はみだす心
書き変わってく
あてにしてたのは時刻表だっけ?

運命とか信じてないでしょ?
少なくともこの車内で
あなた降りるはずの街は、過ぎてるけど聞けない

理系の話は正直ね、よくわからない
でも同じ中心の円のなかに居る

銀河の片隅で
環状線の寄り道だね
池袋まで、混雑よ続け
Don't drive too fast
ゆっくりでも構わないよ、今夜だけは
走り出した心にヒールじゃ追いつかないの

「二度目の恋は二割増し手さぐり」

窓の外に見えるビルの上
いつかのスタッカート見えた

銀河のはじっこまで
この車両だけが浮き上がって
戸惑うふたり
さよなら地球
途中下車できないまま運ばれてく
「明日は予定ないしな」
急にそんなことつぶやくのね
半径5.5cmの宇宙
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