シエスタ

春の兆しに
つつまれた午後の窓辺
空色のカウチにもたれ
うたた寝をしている

やわらかな風は
秘密めく吐息のように
この胸をそっと不思議な
せつなさでまたくすぐる

安らぎを抱いていても
うらはらだね 男は
最後の恋を捜してる
心のスミで
ときめきを刻みたくて
痛いくらい確かに
古い時計の小さな針
止める その前に

戸惑いという
チケットを握りしめて
幸せと夢のあいだの
駅にいまたたずむ

大切な荷物(もの)が
増えすぎた心の部屋
この頃じゃ涙もろくて
残された時感じる

満ち足りた日々のなかで
なぜかいつも男は
炎のように燃え尽きる
憧れに酔う
黄昏に向かう陽射し
このまぶたを揺らして
まどろんでいる休日は
甘い夢を見る

一瞬でいい
裏切りたくて 自分を

安らぎを抱いていても
うらはらだね 男は
最後の恋を捜してる
心のスミで
ときめきを刻みたくて
痛いくらい確かに
古い時計の小さな針
止める その前に
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