袖にふる雨

ポツリと落ちる 銀の玉
湖面を走る はしり雨
まるで貴方の 心の様に
袖を濡らして 行(ゆ)き過ぎる
ほろり落とした 涙の粒が
雨の雫か あゝ 袖にふる雨

貴方の影を 追いかけて
ひとりで来たの 山の宿
一つ枕で さみしい夜の
いない貴方が 恋しいの
想い出す度 流れて落ちる
夢の雫か あゝ 袖にふる雨

朝霧香る 宿の窓
湖面に霞む 影一つ
今朝は帰りの 想い出なのに
ふいと面影 惑わせる
後ろ髪引く せつない狭霧(さぎり)
未練涙か あゝ 袖にふる雨
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