哀愁線リアス

ひとりお酒を注ぎ足す毎(ごと)に
涙に染まるリアス線
トンネルひとつ潜(くぐ)るたび
沖の白帆が鴎に鴎に化ける
小手をかざして あなたが云った
いいとこだろう 三陸は

嫁ぐ気でいた漁師の家に
その気にさせたリアス線
あの夢どこへ行ったのか
外方面(そっぽづら)して鴎が鴎が逃げる
遠い汽笛よ 舞い散る粉雪(こゆき)
教えておくれ 巷(まち)の子に

思い出すのは いいことばかり
年忌(ねんき)の春のリアス線
もう聴くこともないでしょう
土地の浜唄 鴎の鴎の噂
そして不可思議 宮古に残る
浪花の言葉『おおきに』も
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