残侠吉良常

「私、生れも育ちも、三州吉良の港
姓は太田、名は常吉、通称人呼びまして、
吉良常と申します!」

義理と人情の 花散る港
此処は三州 吉良の町
意地が 燃え立つ
五尺の身体
潮の香りが しみている
誰れが付けたか ケチな手前を
吉良常と

「叔父の仁吉のように、人様に惜しまれる人間は、
皆んな早死にをすらあな……!!」

貧乏くじだと、分っちゃいても
引かにゃならない 時もある
惚れた女房を
義理故 すてて
叔父の仁吉は 花と散る
文句抜きだよ これが誠の
男伊達

「若けえ頃はこの祭り太鼓の音に
大そう意気がったもんだ」

三河太鼓の 波立つ音に
暴れ火祭り 空を焼く
喧嘩するような
年ではないが
誠仁義を 一筋に
後生大事に 抱いて死にます
吉良常は
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