残侠荒川橋

義理で飾った 男の道に
真実(まこと)一つが 掴めない
無理も道理も
仁義の世界
筋を通して 何処までも
残侠一匹 俺は行く

「お前にゃ、苦労ばっかりかけて
何一つ、喜ばす事のできなかったこの俺だ、
かんべんしてくれ、この身体が
この命がもう一つありゃ、お前に
全部くれてやりてえ……!!」

強いばかりじゃ 渡世の道は
肩で風など 切れぬもの
受けた恩義に
命を賭けて
たとえお前を 泣かせても
意地でつぐなう 義理もある

「泣くなと云う方が無理かも知れねえ、
だが、これが渡世の仁義だ
…美恵…後をよろしゅう頼んだぜ!!」

恋が女の生き甲斐ならば
意地は 男の 命杖
からむ未練の
荒川土堤(づつみ)
真実(まこと)一つを 懐に
渡る 戸田橋 月もない
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