トビウオの夢

凍えそうな波にさらわれて
流れてく貝殻のように
無口な二人の欠片が波打ち際に転がる

手の平の砂をバラまいて
風に乗り空を彷徨った
行き場を失った恋はいつか海に還るの

感情が水しぶき上げて叫びだす
ねえ、このまま二人で

汚いボロキレのような僕に優しい眼差しをくれた
いつかこの海を越えて有限の空へ君を連れて羽ばたいてゆきたい

君という海の真ん中で
僕はただ波に揺れながら
静かに沈んでゆくのをひたすらに待っている

感情が泡になってしまうその前に
ねえ、このまま二人で

トビウオは今日もまた海の底で
空を飛ぶ夢を見て眠りにつく
自由なんていらない まして愛なんてモノも
ただ、今すぐ君に会いたい

冷たい波にさらわれる前に君のその手を奪って
いつかこの海を越えて有限の空へ君と二人どこまでも

例えその先に何も無くて後悔だけがあるとしても
いつかこの海を越えて有限の空へ君を連れて羽ばたいてゆきたい
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