宵待しぐれ

何ひとつ
欲しくはないと 云いながら
背中にそっと 指で書く
ほの字の次の字 しの字といの字
道頓堀の 恋灯り
降って濡らせよ 宵待しぐれ

幸せに
してやれないと 弱音吐く
あなたを撲(ぶ)った 細い腕
しっかり掴んで 離しちゃ駄目よ
新地の雨の 深情け
涙さそうな 宵待しぐれ

誰ひとり
一緒になれと いわぬのに
それでもついて 行くという
男の意地さえ 通ればいいの
願掛け詣る 法善寺
褒めておやりよ 宵待しぐれ
×