月の小船

きこえてくる
いつかの夜の詩
かすかな震えに
さそわれている

時計の針
刻んでいるように
知らない間に
うばわれては

月の小舟に
そっと乗りこみ
欠けては満ちていく
きみをおもって

きこえている
いつかの夜の詩
くもり硝子ごし
眺めている

ゆらゆらゆらゆら
踊っているように
ゆらゆらゆらゆら
浮かんだふたりの影

月の小舟に
そっと乗りこみ
欠けては満ちていく
きみをおもって

月の小舟に
ずっと揺られて
満ちては欠けていく
きみをおもって

きこえている
いつかの夜の詩
隠された朝に
滲んでいく
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