色去灯

窓に映った ふたりの影に
石を投げたい くやしさを
そっと押さえて 波止場へきたの
霧よ隠して この涙
そうよ私は もういちど 人生の
始発の船を 待つ女

噂聞いたの ひとりじゃないと
それがあなたの 返事でも
見なきゃさめない 女の夢の
重い鎖も 今日かぎり
身からはずして 軽やかな 船足で
南の島へ 帰ります

くらくよどんだ 東京湾に
ひとつ残った 色去灯を
すてて明るく さよならします
船よ急いで 沖へ出て
朝がくるのよ もういちど はじめから
女の旅が 始まるの
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