なつかしい朝

なんにも言わない海よ
おまえはいつも見ていた
人の世界の争いごとを
流した涙のことを

遠い遠い昔から
おまえはみんな見ていた
今も静かなそのまなざしを
私たちにむけている

忘れられる そんな気がする
どんな悲しい きのうのことも
子供の頃に感じたような
あのまぶしいしあわせが
帰ってくる 帰ってくる
なつかしい こんな朝は

きのうまではうす暗い
闇の中にひとりきり
あしたのことも信じられずに
うつむいていたけれど

心をひらいてみれば
風はあの日とおんなじ
ひさしぶりだね また会えたねと
耳もとでささやいてる

鳥がうたう 草木が萌える
季節のかおり ふりまきながら
子供の頃に出会ったような
あのすなおなときめきが
帰ってくる 帰ってくる
なつかしい こんな朝は
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