宇宙人に菓子折りを包まれる

地球を飛び出し早1ヶ月
前方に突如現れた
円盤型の飛行物体
かわせなくて止まれなくて
正面衝突した
船内はパニックだ

船の入り口を叩く音
宇宙人の襲来だ
しこたま警戒して
ドアを開く

菓子折りを包まれた 深々と頭下げ
「ワープから出たばかりでしてご迷惑かけすいません」
丁寧な物腰に困惑する我々に
「お口に合うといいのですが」と彼は二の句を次いだ

互いに損傷はわずかだが
引っかかって離れなくなった
彼は電話で業者を呼ぶ
到着まで共に待つ
最初は警戒していたが
次第に世間話に花が咲く

話の引き出しが多い彼
日本のことも知っていた
「あの、粋の国ですよね」と言っていた

業者が到着し作業が始まった
我々はモニターで見てたがそういや彼の姿がない
汗かいて戻ってきた三人の作業員に
彼は冷たい麦茶を出して羊羹を綺麗に分けた

費用は折半にしたかったが
彼は全部払うと言う
しかし支払いは現金のみ
彼はカードしか持ってなかった

「立て替えてください 絶対払いますから」
別にいいのにと言っても聞かず 彼に住所を教えた
しばらく後自宅に現金書留が
小粋な季節の挨拶と共に届いた

いい人
×