アネモネの記憶

坂道 下りた脇の
花屋のウィンドウ
街角に届けるよ
次の季節がくるメッセージ

一昨年の誕生日
テレながら あなた
差し出した あの花を
覚えているのかしら

あんなにも愛した人なのに
素敵な笑顔も なぜかもう
あいまいに浮かぶだけ

遠ざかる想い出と
引き換えに 今は
気づかずにいただけの
やさしさが見えてくる

図書館帰り 楡の樹の下
初めて交わした言葉さえ
忘れてしまったけど

色とりどりに揺れる
アネモネの花に
さよならも悲しみも
懐かしく よみがえる

遠ざかる想い出と
引き換えに 今は
ありふれた毎日を
大切にしているの

遠ざかる想い出を
大切にしているの
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