泣きぼくろ

色褪せた写真のように
夕焼けが町を染める
あの人が欠けている
影踏みで日が暮れる

早足のあなたには
いつまでも追いつけず
こんなにも遠くまで
置いてけぼりしないで

泣きぼくろいじわるだね
わたしだけ泣かせてさ
泣きぼくろ明日(あす)になれば
もう少し、もう少し、人波にまぎれるわ

手紙など一度もないわ
せがんだこともないけど
ありきたりの言葉も
わたしには宝石よ

花の舞う便せんで
ひとりきり泣いている
不器用なふりをして
あの人はずるいでしょ

泣きぼくろいじわるだね
わたしだけ泣かせてさ
泣きぼくろ今日の隅で
もう少し、もう少し、思い切り泣かせてよ

泣きぼくろ今日でおよし
泣きぼくろ明日になれば
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