宵待ロマンチカ

戀せよ乙女

戀せよ乙女 花の生命は 短きものと嘯(うそぶ)いて
戀せよ乙女 花の色は 移りにけりな徒(いたづ)らに

貴方の聲を聴けば 夢でも一目逢いたくて
千々に乱れる胸に 灯す洋燈(あかり)の切なさよ

言葉に出来ぬ想いは 夜天(そら)を渡り行くわ

戀せよ乙女 やさしい人は 星の数ほどあろうとも
戀せよ乙女 月と仰ぐは 冷たい貴方ひとりだけ

貴方の姿(かげ)を追えば 眸はいつも囚われて
愛し心の枷に 零す涙の果敢無さよ

胸刺すこの痛みさえ 貴方がくれたものなら

夜色染まった窓に 揺らめく宵待ち月

戀せよ乙女 刻告げ鳥の 慈悲なき聲を欺いて
戀せよ乙女 胸裡の炎は 紅燃ゆる逆しまに

戀せよ乙女 花の生命は 短きものと嘯(うそぶ)いて
戀せよ乙女 花の色は 移りにけりな徒(いたづ)らに

嗚呼 満ちては欠ける月の微笑み
玲瓏の美しきその雫 降り注ぐ白露
届かぬ俤(かげ)を包む闇淵(やみわだ)
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