酒とふたりづれ

路地にこぼれる 流行歌(はやりうた)
聴けば昔が 近くなる
男と女の 酒もいい
ひとり手酌の 酒もいい
おもいでばかり 浮かぶ夜は
酒よおまえと ふたりづれ

夢を肴に 酔いしれた
あれは三十路(みそじ)の 半(なか)ば頃
今更わびても もう遅い
惚れて別れた あのおんな
心が寒い こんな夜は
酒よおまえと ふたりづれ

紺ののれんの 向こうから
沸かすやかんの 音がする
もひとつつけてよ いいからさ
少し熱めの 北の酒
こ雨(さめ)が肩に 沁みる夜は
酒よおまえと ふたりづれ
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