母さんの割烹着

今日も時雨の 行き先は
淡い灯りの 味処(あじどころ)
夜雨しのぎに 暖簾をくぐりゃ
着物姿の 小粋な女(ひと)の
白い 白い割烹着
ふるさとが ここにある
思い出すのは 母さんのあたたかさ

どこでお酒を 知ったのか
似合いすぎるよ 手酌酒
四十路半ばで ふるさと捨てた
理由(わけ)を小袖に 隠せば揺れる
白い 白い割烹着
ふるさとが ここにある
そっと振り向きゃ 母さんの笑顔(かお)がある

将来(あす)をさがしに 来た都会(まち)の
夜のすき間の 涙ぐせ
酔いにまかせた 身の上ばなし
ふっと目を伏せ 熱燗注いだ
白い 白い割烹着
ふるさとが ここにある
会いに帰ろう 母さんの割烹着
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