マエストロ

君を上手に 鳴らしてあげよう
若いヤツには無理な話さ
もっと優しく チューニングをして
羽のような タッチで
僕も昔は出来なかったさ
力まかせに 弾きこなしてた
おかげで要らぬ 傷も増えてた
それはそれで 勲章か

ただ急ぎ流れる
川は浅く、狭いのさ
ゆっくりと流れる
河は深く、広いものさ
君は まだきっと
自分の音 知らない

同じキーでも 同じ弦でも
触れ方ひとつ 響きも変わる
時間をかけて 覚えさせれば
愛を知って 歌い出す
深く息して 瞳を閉じて
僕のこの手に 委ねてごらん
無骨に見える 男の指は
驚くほど 優しいぜ

ただ自分のためだけ
愛するのが 若さで
ただ愛のためだけ
愛せるのが大人だろう

君は まだきっと
自分の音 知らない
嘘さ 君を見てから
僕の心 早鐘
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