エレティカ

細く白い指、眼光は赫。
夜に実るのは、禁断の果実。
ああ、静かな夜と純潔、淡い声色。

貴方は今囁いた。

「愛しているのだ。」と甘い声。

悲しい結末を今始めましょう。

赫い雫舐めて牙を見せ咲う黒髪の怪物の名は、
接吻をした後教えてあげるわ。

だから、今は、此の儘で居て。

闇に溶け込んだ隠世の味。
錆びた鉄格子、閉じ込められた。

躰。

助けを求めても、その聲届かず。
甚振られるのはどんな気持ちなの。
ああ、静かな夜と純潔、淡い声色。

貴方はまた繰り返す。

「愛しているのだ。」と甘い声。

ゆらりと、黒い外套を飜えす。

呪縛に苛まれ、人に恐れられ、孤独の中、幸せを願う。

人を愛したい、と。
恋をしたい、と。

────私を愛して。

赫い雫舐めて牙を見せ咲う黒髪の怪物の名は、
接吻をした後教えてあげるわ。

だから、離さないでいて。

貴方は、私を、心から、愛してくれるの?

それなら怖がらず聞いて。

私の名は───。

「     」
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