朝八時

朝八時
歩道にそれぞれの影をひいて
人々は急ぎ足
ドルと円とフランとポンドが渦巻く
退屈で騒がしい一日の始まり

朝八時
誰もが心の中で何かを呟いていて
誰にも人の呟きが聞こえない
ビルの肩からは朝陽
何度くり返しても日ごとに新しい朝陽

朝八時
人波にもまれながら私は呟く
いちばん大切な人はただひとり
その人が見つからない不幸せ
その人を探しつづける幸せ
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