お父さんの歌時計

乙女の身なら 小鳥なら
泣いちゃ飛べない 街の空
私は父の歌時計
涙を秘めて 歌うのよ

母亡き後は 父さんの
命支える 杖なのよ
淋しい父の 手をひいて
細々こえる 浮世坂

病の床に 目が見えぬ
たった一人の 父さんに
唇じっと 噛みしめて
きかせちゃならぬ 涙声

形見か今は 呼びかける
父のやさしい あの声が
歌っているよ いつまでも
ああ父さんの 歌時計
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