門付け兄妹旅

馬の背のよな 峠を越えて
三味線門付(かどづ)け 兄妹(ふたり)旅
今日も吹雪いて 空(か)ら唄続き
帰るふるさと 遠すぎる
米もなければ 寝る場所もない
ないない尽(づ)くしの 日暮れ道

バチを持つ手が しびれる疼(うず)く
ひもじさ堪(こら)えて 口説(くどき)節
泣くな妹よ 涙が凍(こお)る
ついて行きます 兄さんに
地図もなければ 行くすべもない
兄妹(ふたり)の絆が 強くなる

たたく太棹(ふとざお) おやじの形見(かたみ)
よされの唄声 母ゆずり
親にもらった 命の限り
夢にはぐれず 生きて行く
あてもなければ 知る人もない
まどろむ安宿(やすやど) 木賃宿(きちんやど)
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