スクランブル交差点の渡り方

初めて渡ったときは気分が悪くなり
しばらく道の隅で休んでいました
それから何年も そこを渡るたびに
気持ちを使い果たす程に疲れました
おそらく人に酔ったみたいなことです
おそろしく沢山な敵ばかりでした
私には向いていないと思いました

信号のない島に行ったりしました
誰も来ない道は 道と呼べませんでした
3つ隣の 中くらいの島に着いて
信号の灯に喜んだのは確かでした
とはいえ街に戻ると めまいがしました
あまりにも複雑な競い合いでした
私には向いていないと思いました

私には向いていない その交差点を
やむなく めまいしながら何年も渡り
ほんとに偶然に気が付いたんです
みんななぜ楽々(らくらく)と渡っているのか
人と違うほうへ出ようとするから
人とぶつかるばかりだったんです
人の後ろに付けばいいんだと知りました
スクランブル交差点では 渡り方にコツが要(い)る

それでも時折 意外な所へ着いてしまったりもするので
人の行く先を予測するのが大事(だいじ)です
スクランブル交差点では 渡り方にコツが要(い)る
スクランブル交差点では 渡り方に‥‥
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