あの子は竜に逢う

西の町、天王寺
駅はもう封鎖されて誰もいない
何故なのかは誰も知らないんだ
ある日突然柵ができてしまう
不便だよな

噂はいろいろさ
けれどもそのひとつに
女の子は目を付けた
彼女の名前は「田所キライ」
DQNネームのせいで友だちが
ひとりもいないから暇なんだ
噂の真偽を確かめよう
駅には本当に
竜がいるのか

つまらない毎日
くだらない自分
そんな全部全部を壊してくれる
特別なものが
JR改札抜けたらそこに
あると信じて

あっけなく見つかる巨大な竜の姿
けれどそれは思ったよりも
覇気がないというか
ぶっちゃけて言うなら
期待はずれなわけでした

そんなこと言われても
知ったこっちゃないよ
気持ちは察するけど
仕方ないよね
ふてぶてしい態度の竜がそう言うと
何だか少し笑えてきたな

でもさやっぱり
君が羨ましい
だって竜はさ
特別だよ
って言うと君は
「そうかな?」
って言ったあとにもう一度
「そうかな…」ってつぶやいた

僕が生きた毎日
面白いとは言い難いけれど
それでもやっぱり大事なんだよな
そんな独り言を竜がぼやくから
訊ねてみた
君は何でさ、ここを占拠するの?
駅が使えなくて困ってるんだけど
少しの沈黙、そして竜は答えた
「…俺、邪魔だったの…?(汗)」
気まずい顔で
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