風はこんやも北々西 −西海恋絶唱−

あなたが忘れた故郷は
あなたを忘れていませんと
書いた手紙の重たさに
女はため息つくのです
風はこんやも北々西
九十九島に星あかり
過ぎた恋など抱きしめて
夢を頼りに眠ります

三日に一度の恋便り
十日に一度に間があいて
やがて一年何もなく
女は待つ身を覚えます
風は今夜も北々西
九十九島すすり泣き
カタリカタリと恋幻灯
胸に映しているのです

黄金に色づく夕映えの
景色が何より好きでした
そんなあなたが何故に
女を残して行くのです
風はこんやも北々西
九十九島に波が散る
ここで逢いたい暮らしたい
思い一つで生きてます
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