ひとり娘

かわいい娘を 残して逝(い)った
あなたを偲(しの)んで 泣いた日もある
なりふりかまわず 女をすてて
ただひたすらに 母となり
つらい山坂 耐えながら
明日を信じて 生きてきた

父親譲(ゆず)りの やさしい目元(めもと)
見るたび苦労も 笑顔にかえる
家路にいそいだ 夕暮れ橋で
泣きべそかいて 待っていた
そんな我が子も もう二十才(はたち)
今もなつかし 茜空(あかねぞら)

花嫁姿の その日も間近(まぢか)
幸せ願って 天神参(てんじんまい)り
長生きしてねと うれしい言葉
おもわず涙 こみあげる
歩く二人の 肩先に
春の陽ざしが あたたかい
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