蜃気楼

思いがけず 夢にはぐれ
人はいつも 人にすがり
街角は 冷ややかに
逝く春を 見つめる
揺れないで 泣かないで
うつむかないで
寒い午後は 誰かの手に
ゆだねればいい
想い出して 母の胸に
顔をうずめ 泣いた頃を
遠い日の 木もれ陽は
おだやかに よみがえる
季節ごとに 風は変り
季節ごとに 人はめぐり
あのひとも このひとも
振りむけば ゆりかご
出逢いにも 別離にも
ぬくもりはある
いたみ溶かす 愛があれば
ほほえみはくる
思いがけず 涙ぐんで
人はいつも 人にすがり
陽炎の日々の中
とまどいを くりかえす
揺れないで 泣かないで うつむかないで
寒い午後は 誰かの手に ゆだねればいい
寒い午後は 誰かの手に ゆだねればいい
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