みゆき

三丁目の角を曲がる
どこからかカレーの匂い
とぷとぷと注がれた
夕日が僕を染めてく

起きがけの着晒しのまま
煙草を買うだけで今日が終わる
君と歩いた道を辿り
誰もいない部屋に帰る

気付くと何処かに君の匂いを探している
忘れていてくれよ 誰かの腕の中で
こんな僕のことなど

あの日見た夕暮れを今でも覚えている
少し怖いくらいのオレンジ色の光の中で
世界はただ広すぎて、未来は眩しすぎて
僕らは幼すぎた
この手の中には何もなかった

誰もいない教室で
何かの誓いのようなささやかなキスをした
僕らはずっと夢の中で
永遠なんて嘘なことあの時は知らなかった
少しずつゆっくりと何もかもが変わっていった

あの日見た夕暮れを今でも思い出すよ
少し怖いくらいのオレンジ色の光の中で
世界はただ広すぎて、未来は眩しすぎて
それでも怖くなかった
繋ぐ手の中にすべてがあった
×