辛ろうござんすひとり旅

義理と人情の しがらみに
生きてる身には 幸福せなんか
あると思えば 弱くなる
ましてふるさと 信州路
瞼閉じれば遠くなる 遠くなる
辛ろうござんす ひとり旅

つかずはなれず 群れとぶ雁も
山越え帰る 日暮れのねぐら
明日は晴れるか 峠路は
向けた背中に 散る落葉
こころ細さに風が泣く 風が泣く
辛ろうござんす ひとり旅

墨絵ぼかしの 七坂道は
草鞋が冷たい 合羽が重い
未練ばかりが 後追いかけて
つるべ落しの 秋がゆく
隠す涙の三度笠 三度笠
辛ろうござんす ひとり旅
×