雪ほたる

肩で息して とび乗る夜汽車
純情たちきる ベルの音
夢の灯が かすんで千切れ 遠ざかる
吹雪の野づらを 遠ざかる
私…… 春を待てない 雪ほたる

いゝのよいゝのよ 嘘でもいゝの
嘘にすがって 生きられる
泣きじゃくる 温もり置いて 行くなんて
優しさ残して 行くなんて
私…… 春を待てない 雪ほたる

白い谷間の つらゝの宿は
北の情なし 風ばかり
ふり向けば さだめに生きる 冬木立
つらくはないのか 冬木立
私…… 春を待てない 雪ほたる
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