恋花

幼い真珠のような恋心
誰にも言えないまま 閉じ込めてた気持ち

学年ひとつ上の君なのに
放課後にはいつも 待ち伏せしていたね

雪どけ水の溢れるあぜ道の
堀の影から 笑顔をのぞかせる君に

会いたくて もう一度だけ
その声で 呼んでほしくて
「またあした」 はにかむ顔が 淡色に染まる

誰より運動が得意だった
優しくてひょうきんで人気者な君が

どうして私だけからかうのか
理由を知りたくて もっと話したくて

勇気を出して想いを伝えると
決めていたのに 途切れた季節の終わりに

会いたくて もう一度だけ
この恋を 確かめたくて
あの道を 一人歩いても 桜が揺らめくだけ

あれから十数年の月日が流れたけれど
ずっと…

会いたくて もう一度だけ
あの笑顔 見せてほしくて
夢の中だけでいいから 想いが届くように

見えるかな 今の私が
夢の花 咲かせた姿
七音できらめく歌が 君にも響くように…
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