生まれた街

鄙びた公園 夕闇まで 時間を忘れてまたかくれんぼ
キミの背中で息を潜め 噴き出す笑いを押し殺した
毎日 同じ 仲間でじゃれ合う
ただひたすら心の赴くまま

僕は生まれた街のなかで 知らず知らずして縁を結び
決して解けないおまじないで 未来まで友と呼び合えるようになる
またキミに会えるだろう

畦道を駆け抜けていたら 転んで膝小僧 赤く滲む
泣きべそかいて我が家までは これほど遠くに感じるのか
「馬鹿だね」呆れながら手当てする
母の怒り顔 愛しい温もり

キミは生まれた街のなかで 弛まぬ想いを受けて育つ
「健やかであれ そして強くあれ 何があろうと守ってあげるから」
言葉にはないけれど

新緑の香る草原の上 飛ばされそうになった帽子に
気を取られたら心地よいはずの風がおぼろげになびく

僕は生まれた街のなかで 持ち切れないほど与えられた
いくつかはこぼれ落ちたけど 確かなものはここに残ってる
眠れない夜があるのなら 母の子守唄を思い出し
注ぎ込まれたその愛情に 胸を張って明日に向かえばいい
心配はいらないから いらないから
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