香気よ

滑り落ちた瞬間
おしまいの安堵から
投げて壊れる瓶の香気よ

開ける もう形はない
ガラスの容器には
消え易く目に優しい
もはや無い失われた香気よ

約束は液体の
頼りなさそのものに
何処に染みても
香気 香気よ

眠る 訳もなく眠る
心手に入れたら
体と意識を除き
何の甘えが通じた?
香気よ

眠る 訳もなく眠る
水は空気に散る
やがて降ることを忘れ
今はただ失われた香気よ

香気 香気
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