女の夜汽車

岬過ぎても 列車のあとを
はぐれ鴎が 追ってくる
あれが別れに あなたなら
途中下車して 抱かれるものを
暮れる浜辺の 波のよに
涙糸ひく 女の夜汽車

母の情を 頼りに帰る
あなた忘れの 旅なのに
車窓を吐息で曇らせて
憎い恋しい 名を書くわたし
ふたり過ごした あの街へ
戻りたくなる 女の夜列車

迷う想いを 掻き消すような
汽笛一泣き 身に沁みる
いまも貴方と一緒なら
胸に漁り火 燃やせるけれど
辛い運命の 面影に
未練せつない 女の夜汽車
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