すみれアパート

あなたは 深夜の コンビニで
わたしは ファストフードの 店で
バイトに 明け暮れていた
あの日 あの頃…

ささやかで 貧しい 暮らしでも
いつも心は 温かかった

あなたのために 食事をつくり
あなたのために 掃除洗濯
京急沿線 すみれアパート
窓の上には 電車が走る

あなたと生きて 行けるのならば
わたしの夢など 捨ててもいいと
本気で思った…

二年の 月日が 変えて行く
あなたは ままにならない 夢に
いつしか 苛立ちはじめ
哀しい 諍い…

この街の 再開発はもう
立ち退き期限に 容赦なかった

これからあなた どうすると訊けば
ひとりで生きて みたいと言った
京急沿線 すみれアパート
闇を突き裂き 電車が走る

あなたと生きて 行けないならば
忘れた夢でも 拾い集めて
みようと思った…
あれから何年…
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