Arcie

アルカンシェ・プティフルール・フィデリトール
“フィデリトールに咲く一輪の可憐な花”
それが、彼女の名前

時は白き絶望に浸食されゆく最中
首都レオメトルの城に生まれた

幼くして両親を亡くし
けれど大切に育てられ、やがて
美しく聡明な少女となった

父の一途な正義と
母の天真爛漫な好奇心とを受け継いだ若き王女

英雄であった父の跡を継ぐ戴冠式が迫るにつれて
生まれながらに架せられた
定めが少女の華奢な肩にのしかかる

「お父様、私にできるの?この国の未来を背負えるの?」

彼女は日夜繰り返す自問自答

「お母様、なぜ私なの?私がここにいていいの?」

答えは出ずに、ただ時間だけが過ぎる…
されど籠の中の小鳥 想い描けど
未だ見ずに、触れる事も叶わない世界

王女として多くを学び
何不自由なく暮らしていても
誰も“ひとりの少女である私”を知らない

「自分の存在すら、リアリティがないの」

そして、彼女は旅立つ
空虚な日々から抜け出し
果てしない現実の海原へ
抗えぬ運命の流れに、己が人生に
立ち向かい真実を求めるストーリー
今、始まる
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