つめたい手

初めてもらった 旋律は
悲しみを 組み合わせ
冷えたこの手を 暖めたの

あなただけ 傷つけていくように
取り返せないものは 諦めてもいいのに
ぬかるんだ淵から たちのぼる未来は
擦り切れて粉々

怯えたふたりが 近づきすぎたの
あまりに淋しくて 乾いた音は
枝を揺らしながら 咲いた花を
散らしてしまった 静かに

跡切れることを 恐れるから
ひたすらに 響くだけ
時を止めた 海の底へと
身を投げて 過ぎていくのを待つの

今 小さく芽ぶいて 汚れた血を肢体を
朽ち果てた呼び名を ここから始めれば
何も持たなければ ねじれたふたりは
悶えた分だけ ちぎれてくばかりで
破れた窓に あの凍えた風が
攻め寄せるの
冷えたままの手だけ 静かに

つめたい手だけ 静かに
つめたい手だけ 静かに
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