リサの海

秋が三度(みたび)めぐり 日暮れ駅
なつかしさで胸を いたませ
帰って来たよ この町へ
リサの姿がない 闇の部屋
畳に家具のあと ましろく
昔の暮らしを きざんでる
ああリサよ いつの日か
二人して ふるさとで
海を見て 生きようと
約束したはずだ

捜しあてた時は 三月(みつき)あと
思いがけずリサは ベッドで
明日も知れない 身だという
ああリサよ 窓の外
街灯り 消え去って
ああリサよ ふるさとの
潮騒が 聞こえるか
せめてそい寝しよう ひと時を
答え返らなくても 二人で
リサの海へと旅立とう
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