親父

ガキの頃は 当たり前の事だと思っていたけど
さり気なく 家族を養ってくれている親父よ
ありがとう お疲れさまいつまでも長生きをしてくれよ
オレもやるよ 親父みたく 男らしくなるため

恥ずかしくて言えなかったけど あなたが今の憧れ
恥ずかしくて言わなかったけど あなたの子供で良かったぜ

昭和23年の春 オレの親父は生まれた
そこは千葉九十九里浜 お産婆さんに取り上げられた
幼稚園通っていた頃 おじいちゃんの仕事の都合で
横浜へ引っ越したらしい 幼いながらに泣いたらしい
小学生の頃何も夢がなかったという親父
早稲田慶応が成功の証 高度成長期
男は理数系だって育てられた 親父は徹夜で勉強した
希望の会社に就職22歳 夢を叶えた

恥ずかしくて言えなかったけど あなたが今の憧れ
恥ずかしくて言わなかったけど あなたの子供で良かったぜ

昭和53年の冬 オレが産まれた時病院で
人前で泣かない親父が 泣きながら笑っていたらしい
四人家族の大黒柱 病気の時でも早い朝
いつもと同じ満員電車 金曜日の夜はちょっとお酒臭い
いくら煙たがられても昼間は会社仕事に打ち込む
残業続きでちょっとおねむでも 文句一つ聞いた事ない
苦労を苦労と感じないと言っていた親父は
相変わらず 働く 働く

恥ずかしくて言えなかったけど あなたが今の憧れ
恥ずかしくて言わなかったけど あなたの子供で良かったぜ

不器用なとこもそっくりで いっつも周りを楽しませようと
下らない冗談が大好きで たまに少し外してるけど
いつも背中はオレに語る人生 でも苦労かけて広がったおでこ
親父 なにかとごめんね それと ありがとう

恥ずかしくて言えなかったけど あなたが今の憧れ
恥ずかしくて言わなかったけど あなたの子供で良かったぜ
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