嵯峨野雨情

これが最後と 我がまま言って
あなたを誘った 古都の旅
日暮れの嵯峨野 肩寄せ行けば
罪なおんなを 責めるよに
竹の小径に あゝ 雨が降る

出来ることなら あなたを奪い
いのちを絶ちたい この宿で
やさしい腕に 手まくらされて
眠れないまま みる窓辺
泣いているよな あゝ 京の雨

悪いおんなと わかっています
それでもあなたが 欲しかった
別れの傘を ふたりでさせば
恋の想い出 濡らすよに
苔(こけ)の庵(いおり)に あゝ 雨が降る
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