アトカタモナイノ国

きみのことを誰も覚えてない
名前さえも きいたこともないと言う
そんな人は 知り合いにはいないよと
誰も彼も 不思議そうな顔をする

きみがくれた手紙がなぜか
見あたらない 部屋のどこにも
日記の中に きみが出てこない
毎日書いていたはずなのに

アトカタモナイノ国
僕はたどりついた

きみの家を ある日訪ねてみた
きみの家が あったはずのその場所には
三階建ての古い郵便局
古いドアが 古い客を待っていた

きみの番地を 確かめようと
アドレス帳をめくってみても
どこにもない きみの名前が
まるで全てが なかったように

アトカタモナイノ国
僕はたどりついた

ここで僕の 時計は動き出すよ
ここで僕は これから何をしてもいい
ここで僕は 自由に息をする
そして僕は これからどこへ行けばいい?

きみがくれた ぎこちないキスや
抱きしめられた 胸のぬくもり
もう忘れる もう忘れていい
きみの電話を もう待たない
アトカタモナイノ国
僕はたどりついた

アトカタモナイノ国
やっと僕は眠れる
×