嵯峨野しぐれて

宿の便箋かりて 書いてます
季節はずれの 京都はみぞれです
くるしみました まよいました
待つか奪うか 身をひくか
逢えば抱かれて しまうから
のがれて静かな 嵯峨野路へ

胸がさむいと書いて 手がとまる
なみだほろほろ 便箋ぬらします
みれんでしょぅか にじむ文字が
いつかあなたに 見えてくる
ばかね我慢が できなくて
あなたを呼んでる 夜ふけごろ

どこのお寺か遠い 鐘のこえ
雪見障子の むこうに聞こえます
一度はきめた さよならが
いまは死んでも 書けません
あなた迎えに きてほしい
ふたりになりたい 竹の宿
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