奪う勇気を捨てた者たちは
寄り添うこともなく にわかに夜は消えた

いつわりのない優しさだけをみせる君の仕度は終り
少しだけ春が近づいてる気配はするけれど

なにも言えないで過ぎてゆく
君の影を見送るだけ
逢うたびつぼみは焦かれてく
哀しいほど熱をはらみ

白く長い指 だれかも褒めていた
何度かその手を振って君は路地を曲がる

口を開ければ綺麗好きな言葉が本音の邪魔をする
たかが恋なのに いつからこんな臆病(おくびょう)になったの

なにも言えないで過ぎてゆく
君の影を見送るだけ
わかっているから 涙が落ちる
膨らむ思いを飲み込む辛さを

もっと早く出会っていれば
なにもかもがうまくいったのか
華やかに咲いて散るような
瞬間を二人求めている

目を閉じ強く感じている
その心がそばにあること

なにも言えないで過ぎてゆく
君の影を見送るだけ
思い上がりにも似たような
気持ちが胸であばれている

二人のはかない行き先を
変えてみようか 裸になって
寂しい街から連れ出して
遠い国で君を抱きたい
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