柿の実ひとつ

今年の秋も 終りやら
柿の実ひとつ 青い空
峠を越えて あの人も
旅へ出たきり もどらない
柿の実ひとつ 待ちぼうけ
いいえ 私も 待ちぼうけ

梢の先に 残された
柿の実ひとつ なに想う
祭も過ぎた ふる里は
落葉ばかりが かさこそと
柿の実ひとつ 淋しかろ
いいえ 私は なお淋し

あなたは誰の 忘れもの
柿の実ひとつ 風のなか
また来る冬の 寒さより
逢えぬ辛さに 泣けそうよ
柿の実ひとつ ひとりぼっち
いいえ 私も ただ独り
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