ハイスクール・ライダー

オンボロの黒いKAWASAKIの単車は 知らない先輩から8万で買った
エンジンの音が直接聞こえるやつさ 家の近所では押して歩いた

学校にも嫌気がさし 愛が何かも分からずに
汚れたジャケットに小銭を放り込んで

16号をかっ飛ばす 真夜中のトラックを追い越し
兄貴の青いヘルメットが 風に飛ばされちまいそうなるまで
生きるのが下手な ハイスクール・ライダー

カッコつけてはスピードを出して 下校中のあの子のスカートを揺らした
ミラーに映るあの子が微笑んでくれたから ただそれだけで嬉しくて

バイク通学のHighschool Boy! 帰ろうと乗り込んだ時
張り込みの教師に捕まっちまった Come On! Teacher!!

16号で風になる 基地の明かりを睨みながら
視界が狭くなってくるほど 恐怖とスリルが踊り出す
笑いたきゃ笑えよ ハイスクール・ライダー

真冬の奥多摩のカーブで倒れ ダウンジャケットの羽根が宙を舞った
タンクは潰れハンドルは曲がり 黒いKAWASAKIは廃車にされちまった

坂を下りるボロボロの靴 血の滲む破れたジーンズ
悔し涙がアスファルトに溶けていった…

「自由」「ロック」「GO」走り出す 誰からも縛られたくない
朝焼けに照らされた低いビルディング 憂鬱の意味を語り出す
16号の狼さ 削られてゆく人生に
爆音と共に吐き出すのは 排気ガスとため息だけさ
不安と孤独の ハイスクール・ライダー

真夜中の道路を駆け抜けて行く 車とそれぞれの人の寂しさを
抱きしめるにはあまりにも急ぎ足の世の中さ
あの夜、足を引きずって帰った俺に 母親は怒鳴ったりはしなかった
なぁ…覚えているかい? 命知らずだった俺が 今こうして歌ってる
大人のルールに刻まされた無数の傷が 今夜も俺を走らせる
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