しぐれ舟宿

飲ませて ごめんと 言うあなた
酔っても いいのと 言うわたし
舟宿の 濡れて夜更ける 思い出枕
夢を分けあい 別れる朝は
涙しぐれが袖に降る

男は 意地だと 言うあなた
女は 愛よと 言うわたし
舟宿で 人の温り 分け合いながら
情け重ねた 夢から醒めりゃ
明日は未練に泣くでしょぅ

心は ひとつと 言うあなた
身体も ひとつと 言うわたし
舟宿の 出逢い切ない 二人の小部屋
どうかこのまま ただ抱きしめて
燃えるいのちの果てるまで……
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