フォトグラフ

ふいにラベンダーの
香りがした ホームで

夕暮れ色に 染まるまちを
見ていた

まくら木のすき間から
芽を出したれんげ草

「忘れないでいよう」って
ずーっと想ってたのに

夏の日の想い出は
まぶしくて 切なくて

いつの間にか
赤茶けた フォトグラフに
涙がでた

「不思議な人ね」
笑いながら そう言うと

振りかえらないで 歩いてったね
ひとりで

坂道を越えるまで
手をふっていたんだよ

「かわらないでいよう」って
ずーっと想ってたのに

あの風のささやきは
淋しくて 切なくて

いつまでも
青空の フォトグラフに
涙がでた
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