翠緑の翼

朧げにある 雲が象る黄金(こがね)の空を最後に目にした
翳りゆく陽は闇へと沈み 月を探して凪は風となる

知られざる世界 眠れるおまえにそっと触れて
別れのくちづけ 嵐の晩に

儚く過ぎし命を攫う時の憂いが訪れるまでは

姿は見えずとも離れない 私はいつも見ている
木の葉が揺れたら思い出して 在りし日々を

翼よ 私の背に宿り空へと運べ
誰の目も届かぬ場所ならば涙も流せよう
流れし夢なら何度でも追いついてみせる
巡る悲しみよ去れ

受け継ぎし者よ 何を語らずとも感じる
葉脈の端で出逢った雲孫は頷いた

吹きすさぶ心へと新しい風が舞う
変わらぬ想いを今届けよう

翠緑の翼よ 私の背に宿り空へと運べ
誰の目も届かぬ場所ならば涙も流せよう
流れし夢なら何度でも追いついてみせる
巡る悲しみよ去れ

私は長き旅を経て帰り着く 暖かな陽の光が心の中に蘇る
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