水たまり

いっそ泣けたら どんなにいいか
泣けぬ辛さの 水たまり
風の路地裏 居酒屋は
遠い故郷の 蝉しぐれ……
男って奴は
酒に涙を 捨てるのさ

惚れていりゃこそ 惚れたと言えぬ
言えばおまえを 駄目にする
胸の落ち葉の その奥にゃ
むかし泣かせた 女(ひと)がいて……
男って奴は
いまも残り火 あたためる

晴れと思えば どしゃ降り雨に
消えぬこころの 水たまり
夢のかけらに すがっても
運命(さだめ)かなしい 遠花火……
男って奴は
酒に明日(あした)を つなぐのさ
×